産婦人科医

産婦人科とは妊娠・分娩、女性性器の疾患を診療します。歴史的にも妊娠・出産に関わる部分は産院や産科として独立してきましたが、結婚・妊娠・出産・産褥という一連のプロセスから女性は性器に変化・異常・疾患を生じやすいところから、産科と婦人科を合わせて産婦人科とすることが多くなりました。診療科目の標榜として産婦人科を謳っていても病院によっては産科または婦人科のどちらかに特化していることもあります。

産婦人科は特に出産年齢に達した女性を対象としており、妊娠・出産・女性特有の疾患に加えて特に産科の分野では、妊娠中期から出産日数までの期間を組み合わせた周産期医療、分娩監視装置による妊婦管理、子どもができにくい夫婦たちには体外受精や不妊治療、遺伝子相談による先天性異常の予防など診療面の進歩が著しく進展しています。 

人間の誕生以来、出産という行為は脈々と続いてきたことではありますが、産婦人科の歴史はそれほど長いものではありません。人間の出産とは特殊で神秘性を秘めたものではありましたが、人の営みの中ではごく当たり前のこととしての認識が強くありました。特に日本には現代の助産師に当たるお産婆さんが中心となって、妊婦さんに付き添い、出産をサポートしてきました。帝王切開や医療的処置を必要とする場合にのみ、外科医が介入していたのです。その後、医療が発展すると母子ともに健康・安全に出産していくための方法が医学的見地から研究されるようになり、助産師と外科医が出産を専門とし、現代の産婦人科となっていきました。

産婦人科という領域は、未だ人の生殖という未解明で神秘性に包まれており、新しい生命の誕生に立ち会うことのできる喜びは何ものにも変えがたいと産婦人科医たちは口をそろえます。

大きな喜びや感動がある職務ではありますが、近年は産婦人科医の減少、産婦人科医不足が深刻化しています。出産は難産ともなれば30時間以上もかかる長丁場になる場合がある上、赤ちゃんやお母さんの健康状態を優先して、帝王切開や緊急的な処置を必要とすることもあります。そのため産婦人科医の労働時間は必然的に長くなり、過重労働が指摘されています。

さらに昨今は国民の権利意識の高まりとともに、高度医療、応急的処置が時に医療訴訟へと発展するケースが多くなりました。産婦人科は診療科の中でも訴訟率が高いと言われており、全体の約13%は産婦人科に関する訴訟です。そこには赤ちゃんは普通に健康に生まれてくるのが当たり前と思っている(出産まで一度も病院を受診せず、母子手帳も持たずに病院へ搬送されたとしても)風潮があり、万が一何かあった場合にすぐに病院や医師を相手取り訴訟・損害賠償と訴えられるケースが少なくありません。そのため産婦人科医を希望する医師が少なく、激減しているのです。

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